バイクのドライブチェーン、特に高速で走る大型バイクのドライブチェーンは過酷です。高トルクでの引っぱり、ブレーキングによる引っぱりなどという機械的なストレスが大きなだけではなく、スプロケット部分でチェーンにかかる遠心力があるため、チェーンルーブには高い性能が求められてきます。この部分の遠心力は当然チェーンルーブにもかかり、これが飛散の原因になります。チェーンルーブが飛散するとチェーン自体の潤滑性能が低下するだけではなく、ホイールやタイヤなど周囲にチェーンルーブが付着してしまうのです。これは美観を損ねるだけではなく危険です。

 このクリヤドライコートを吹き付けると、吹き付けた瞬間は低粘度のため、チェーン各部に広がり浸透します。そして揮発性の溶剤が飛ぶと硬化し、チェーン全体をコーティングします。この皮膜は潤滑性皮膜で、爪をたてれば傷が付く程度の軟質皮膜です。そのためダンパー効果も高く高荷重にも油膜切れのような現象を起こさないため、スプロケットの磨耗を大幅に抑えることができます。また硬化付着型なので遠心力などで飛散することがなく、潤滑維持性能は一般的なチェーンルーブに対して非常に高くなります。また硬化型であるためチェーンルーブ自体の粘性でホコリやゴミなどを吸着することが無く、これもまたスプロケットの磨耗を抑える効果となります。さらに透明皮膜のため、メッキチェーンなどのクオリティを最大限まで引き出すことが可能です。

 最近のドライブチェーンではシールタイプと呼ばれる、チェーンのリンク軸部分にグリスを充填し、これをOリング等のシールで封印するタイプが多く使われています。こういったタイプでは軸部分の潤滑はグリスのみで行われるため、チェーングリスでの潤滑は不要です。もしチェーングリスがその部分に浸透するということは、封印されているグリスも外に出てしまうということなので、シールチェーンの意味を成しません。実際にチェーン潤滑で一番重要な部分は、チェーンのローラー部分。つまりスプロケットと噛み合う部分なのです。この部分が最も荷重や摩擦を受けるため、クリヤドライコートの皮膜は効果的に威力を発揮します。

 クリアドライコートはその性質から、大量に吹き付けると皮膜層が厚くなりすぎてチェーンの動きが悪くなります。しかししばらく走行することで、磨耗部分の必要以外の部分は削れてしまうため作動は軽くなります。しかしそういった心配を防ぐためにも、薄膜でスプレーすることをお勧めします。また硬化する性質上、ノズル等が詰まる場合がありますが、普通の塗装スプレー使用時と同様に、使用後に容器をさかさまにして、数秒空噴きをして下さい。そうすることでノズル等の詰まりを予防できます。もし詰まった場合には、ノズル等をパーツクリーナーのスプレーに取り付けて噴くことで、詰まりを解消することができます。
市販のチェーンクリーナーやブラシを使って、固着している古いチェーンルーブを洗い流し、チェーンをきれいにして下さい。
クリヤドライコートの容器を良く振り、チェーンに吹き付けます。サイドプレート部分には高い防錆効果が生まれます。
ローラー部分では高い潤滑性とショック吸収性を生み、スプロケットの磨耗を防ぎます。
ローラー部分は特に重要なので、裏側からも吹き付けます。
チェーン以外に飛んだ部分は、早めにチェーンクリーナーで洗浄しておきましょう。
最後にウエス等で拭き取っておきましょう。